アヤメ 六月の菖蒲


岩波新書の「花を旅する」栗田勇著(2001年3月21日刊)を参照しながら、
一年かけて、私も花の文化を考える旅をすることにします。

花杜若 はなかきつばた 立ち杜若 たちかきつばた


flag(英名)
Iris sanguinea Donn.(学名)

アヤメ科アヤメ属
菖蒲
シベリア、中国東北部、朝鮮、日本 原産 多年草

アヤメ属は北半球に約200種自生…主な種類は…
カキツバタI.laevigataFrischer
(杜若,燕子花)
日本でもっとも早くから親しまれ、万葉集にも詠まれる
イチハツI.tectorum Maxim.(英名roof iris)
中国中央部からビルマ原産
4月下旬から開花 漢名「燕尾」和名「一初」
古く、わら屋根にも植えられ、大風を防ぐとされた
シャガI.japonica Thunb.
外花被片にとさか状突起を持つ
ヒメシャガI.gracilipes A.Gray
ヒオウギアヤメI.setosa Pall.
カンザキアヤメ

キショウブI.pseudacorus L.(英名water flag:yellow flag)
ヨーロッパ原産 繁殖力強い
古くフルール・ド・リスfleur-de-lisと呼ばれ、
フランク王クロービス一世が紋章にした
チャショウブI.fulva Ker-Gawl(英名copper iris)
アメリカミシシッーピー河畔
ネジアヤメ
チベットでヤクの飼料や野菜を束ねる縄に用いた
テナックスI.tenax Dougl.
インディアンが魚をとるあみや動物をとるわなを作った
ドイツアヤメ
外花被片にひげ状突起を持つ ヨーロッパ原産球根アイリス
スパニッシュアイリスI.
ヨーロッパ原産 球根アイリス
ニオイイリスI.florenrina L.(英名orris)
根茎を香料や薬用に用いたが、現在は、
イリス・パリダI.pllida Lam.を香料用にイタリアで主要な産業作物として栽培している
イリス・アルビカンスI.albicans Lange
イスラム人が墓地を飾るためアラビアからヨーロッパでもちいられた

園芸種
ハナショウブ 日本が世界に誇りうる名花
江戸時代以降ノハナショウブを原種に品種改良が進められた
江戸系、肥後系、伊勢系に大別される
ジャーマン・アイリス
ダッチ・アイリス
シベリアン・アイリス
平凡社大百科事典(堀中明・矢原徹一)

岩波新書の「花を旅する」栗田勇著(2001年3月刊)、六月の アヤメです・・

それでは、以下、要約は太字は目次で、ちょっとワープしつついきます。

鮮やかで凛とした印象

水郷のあやめ祭り
水郷=潮来 見ごろは九日、十日がピーク
潮来節から阿波踊りへ
地元の小唄、俗謡に始まる
金毘羅節は地元の民謡と溶け合い、四国の阿波踊りの原型となり
「藤娘」の常磐津にも取り入れられた

元来アヤメは水につかって咲くものではない
→乙女の比喩
潮来は物産海運の集積センター
江戸時代の遊郭色町は大衆文化センターの趣
流行の情報発信

アヤメはどこに咲くのか
アヤメは水辺に咲かないのかという議論が気になる
まず
ショウブはサトイモ科
(アヤメ、カキツバタ、ハナショウブはアヤメ科)
  ショウブは水辺を好む
カキツバタも水辺を好む
アヤメは山野、野原を好む
ハナショウブは園芸種で水際ひたひた(湿地がよい)

それぞれの花の特徴
ショウブ 香り高いが花や葉が違う 五月五日の菖蒲湯
アヤメ 「文目」
花びらの付け目のところが「文目格子」になっている


カキツバタは花びらの付け根が白である
黄色の筋がはっきりしているのは野生のノハナショウブ
園芸種のハナショウブにも入っている

カキツバタは白
アヤメの花びらの付け根は格子
ハナショウブは黄色の筋

補足
WEB 検索
いずれがアヤメ?カキツバタ?の意味
複数の優れたものを前にして選択に迷うこと
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
「いずれがアヤメかカキツバタ」といえば、美しくて甲乙付けがたいことを言う。

単に見分けがつきにくい、という意味ではないのですが、まずは、見分け方…。
1)http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/
特徴の比較(by青木さん)

2)http://www.kokkaen.co.jp/gardenjapan/
見分けるポイントは、「花弁の元」
ハナショウブは花弁の元が黄色い目型模様、
カキツバタは白い目型、
そしてアヤメは網目状の模様があり、ここで区別するのが一番楽でわかり易い
「でも、花が咲いていないときはどうやって見分けるのー。」
「葉っぱ」で見分ける方法。
ハナショウブの葉は、葉の表に1本、裏に2本、葉脈の主脈が出ている
(アヤメやカキツバタはほとんど目立たない。)
ハナショウブより葉の幅が狭いのがアヤメ、
幅広なのがカキツバタ

3)http://www.yuri.sakura.ne.jp/~hana/f1/a-gyo/airisu.htm
アイリス(アヤメ)属の仲間
「花の家」(三浦半島のなずなさん)
アヤメのほか、 アイリス(ダッチアイリス) ジャーマンアイリス
ハナショウブ 、 キショウブの写真解説もある


Photo by (C) RARURU. 北の大地の贈り物

要約続き

好みの花…
「華やかで豪華な花よりも、どこか素朴で単純な色彩で、
なんとなく凛として勢いのある、それぞれの原種に近いものの方が
迫力がある」(by 栗田勇)

節季を捉えた用い方

「節季」 平安頃一年間の生活の運気のけじめ
「節日」 植物はその日から表情を変える
もう一度今の暮らしに取り入れたら日常生活のリズムが
心身をひとつに働かせてくれる

「枕草子」

草は菖蒲。菰(こも)。葵、いとをかし。

神代よりして、さるかざしとなりけん、いみじうめでたし

(六六)



万葉集のアヤメの歌は長短12首
五月五日の薬玉にちなんで歌う

 
 
 
大 
伴 
家 
持    1490

いずれあやめか
由来のわかる物語

源頼政という武将歌人が後宮のアヤメという美女に恋をした。
という怪鳥を弓で射落として上皇にほめられた。
手柄の褒美としてこの女が下げられることになった。
直接間近で見たことのない、おなじ衣装で並んだ十二人の美女の中から
選ばされることになった。
源平盛衰記 平家物語などにも見られる有名な話。

上皇「お前が好きならわかるだろう」
頼政の歌

五月雨に沢辺の真薦(まこも)
水越えて
何(いずれ)菖蒲(あやめ)と
引(ひき)ぞ煩(わずら)ふ

本歌は下の古今和歌集の歌

 
 
 
 
 
 
   

伊勢物語のこころ
在原業平のイメージ
カキツバタの詩的情緒

図像の中のアヤメ
家紋
束ねたアヤメ
流水紋との組み合わせ
尾形光琳 燕子花図屏風

郷愁を誘う花の美しさ

七束とか五束とか三束とかの株がいくつか、
曲折する八橋を囲んで咲いているという構図

実に簡潔で迫力のある花の配置から、
それを大きく区切る橋を思わせる視線はモダン

画面全体をデザイン的に構成した現代的発想
江戸の美学の源流は平安貴族サロンへの回帰というのが本質。
カキツバタは文学だけでなく、
桃山、江戸時代に復活して工芸デザインの中でも、
私たちの生活にもう一度よみがえっている


在原業平のかきつばたの和歌が歌われた場所
三河の国八橋(愛知県知立市八橋町)

伊勢物語第九段 カキツバタという五文字

ら衣
つつなれにし
ましあれば
るばるきぬる
びをしぞおもう
唐衣=豪華な女人の衣装

伊勢物語の歌の主題は、
まず、世俗を捨てようとする男の人生の旅がある。
恋人との訣れの涙がある。
流れ行く川のほとりに咲く花にその思い出がよみがえる。
ところがすべてを流し去っていく水の流れがあります。
一方、水は命をはぐくむもとである。
流水紋は古墳時代からあり、
いつも歌に詠まれ今日も続いている
(by栗田勇 要約ここまで)


補足
尾形光琳1658-1716(万冶1-亨保1)
燕子花図屏風」……
1701〜04年(元禄14〜17)ごろの作
六曲一双屏風(各縦1.5m、横3.6m)
根津美術館蔵で「紅白梅図屏風」とともに尾形光琳の最高傑作とされる
伊勢物語に題材をとり、型を使って描いた

ショウブ by万華鏡さん

花札〔任天堂のページ〕より
http://www.nintendo.co.jp/n09/hana-kabu_games/index.html
1月: 松に鶴
2月: 梅にうぐいす
3月: 桜に幕
4月: 藤にほととぎす
5月: 菖蒲(アヤメ)に八ツ橋
6月: 牡丹に蝶
7月: 萩に猪
8月: ススキに月・雁
9月: 菊に盃
10月: 紅葉に鹿
11月: 小野道風にカエル 柳にツバメ
12月: 桐に鳳凰

「燕子花図」
根津美術館の紹介ページ

「八橋図」
(アメリカ)メトロポリタン美術館蔵

美術散歩 ルネサンスから抽象絵画まで さんのお話引用 http://cardiacsurgery.hp.infoseek.co.jp/Opinion.htm
「メトロポリタン美術館の日本美術の中でもっとも有名なのは尾形光琳の六曲屏風「八橋図」である。 これは鳥取の池田家に所蔵されていたものであるが、戦後売りに出され、結局は渡米したのである。このような国宝級絵画の国外持ち出し許可が簡単におりたのは、この絵が本物の光琳作ではなく 模写となっていたためであるとのことである」

八橋図(額付ポスター)税込 12,600円
大阪市美術館所蔵の尾形光琳「燕子花図」
BLUE HEAVENさんの 「琳派 RIMPA展」の紹介

http://www3.starcat.ne.jp/~nisak/rimpa.html
WIEN e MUSICAさんの 「琳派 RIMPA展」の紹介

1970年3月14日行発切手

日本花菖蒲協会のホームページ内の花菖蒲の文化歴史のページ
http://www.kamoltd.co.jp/kakegawa/syoubu.html



Photo by (C) RARURU. 北の大地の贈り物

家紋by気まぐれ工房

ここで「アイリス」です。 http://www2.tba.t-com.ne.jp/kafuka/hn/hn007.htm
百科事典にはアヤメのほかにアイリスの項があります。
執筆は荒俣宏さんです。

解説のあるページは、まず、
ジャーマンアイリスの販売をするロールスガーデンさん〔アイリス友の会〕
http://www.roris.co.jp/index.htmlアイリスの図鑑として約1,700種の写真あり
栽培法や、開花時期による アイリスの分類などの資料室あり。
ギリシャ神話の登場人物はイリス

lastModified: 2011年


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