サクラ 桜 櫻

岩波新書の「花を旅する」栗田勇著(2001年3月21日刊)を参照しながら、
一年かけて、私も花の文化を考える旅をすることにします。

さて、四月の桜です・・


桜で思い浮かべるのは、西行です。在原業平です。
いわば…日本古典文学の根幹?

栗田さんはどうなんでしょうか…ではみてみたいと思います。
その前に百科事典よリ桜の植物学のおさらいです。



学名:Prunus
英名: cherry Japanese
(flowering)cherry
科名:バラ科 サクラ属サクラ亜属

サクラは日本のみの原産というのは誤り
中国(四川省雲南省)、インドやビルマ(ミャンマー)の山岳にも自生
セイヨウミザクラは東ヨーロッパから来たヨーロッパの森林に自生する

英名の区別
cherry セイヨウミザクラ実を食べるもの
Japanese (flowering)cherry 花を見るもの

斉藤正二

北半球の温帯暖帯に分布 落葉性樹木

日本には
ヤマザクラ、オオヤマザクラ、カスミザクラ、オオシマザクラ、マメザクラ、
エドヒガン、チョウジザクラ、ミヤマザクラ、タカネザクラなど
10種類ほどの自然種を基本に
異種品種あわせて100ほどの種類が野生

園芸種は200から300

陽樹
成長が早い→人家で栽植するにも好適
葉:互生 縁に鋸歯
葉柄の上部に一対またはそれ以上のにみつ腺がある
花:円筒形した蕚筒の上部に5枚の蕚片く
  蕚片と交互に5枚の花弁
  おしべ: 蕚筒の内側に通常40本のおしべが3段くらいつく
  めしべは1本
果実:核果 果肉の中に1個の硬い核があり、1種子が含まれている。

ソメイヨシノ染井吉野
P.×yedoensis Matsum.
もっとも普通の花見の対象
明治初年に東京の染井から広がる
オオシマザクラとエドヒガンの雑種

平凡社大百科事典(小林義雄)


WEB 検索
ニッポンの桜だより (桜百景データベース
  by 地域新聞マルチメディア・ネットワーク協議会


(全国の桜の名所 リンク集 図鑑) by Pressmedia co.,Ltd

桜図鑑
(70種の桜) by日本花の会

「花を旅する」(栗田勇著)の要約(1)……


芭蕉と吉野山
(及の小文)

花に埋もれて陶酔するもの
先人の歌が三つ
「摂政候(藤原良経)の眺めに奪われ」
「西行の枝折(しをり)に迷い」

「かの貞室が是はこれはと打ちなぐりたるに、」

「われいはん言葉もなくて、
いたづらに口をとぢたる、
いと口をおし。」


   
  
 
 
  
    

   
  
 
  
  西
   
      




桜ぐるいの系譜

西行(旧暦二月十五日没)

ねがはくは 花の下にて
春死なん
そのきさらぎの 望月のころ



夢窓疎石(室町)
天竜寺の庭や西芳寺の庭園を作ったことで有名
古跡の目印はしだれ桜

婆娑羅大名佐々木道誉
道誉桜

本居宣長 桜の歌二百首

「死後の奥津城(おくつき)の土盛り森の背景に桜の木を植えよ



「花を旅する」(栗田勇著)の要約続き(2)




どこへでも尋ねたくなる気持ちを起こす

2000年3月中旬 淡路世界花博覧会へ
感じたこと
お国ぶりによって、花に対する姿勢がまるで違って現れる
アジアの花は華やかで開かれている
フランスは全体にシックだが、ピンこない

日本庭園、坪庭、まるで違う印象
花は桜につきるなとも



「花を旅する」(栗田勇著)の要約続き(3)


桜への思いいれ
桜と梅
紫宸殿の正面「右近の橘左近の梅」→梅
947(天暦元)年 桜の木の取って代わる

古代民族信仰
花祭り…
春の女神 木花之開耶姫(このはなのさくやひめ)が
桜の木に降りてくる
→桜の花の下で遊ぶ
年中行事
桜の下で集まること

桜の大樹の下は聖別された「に・わ」神を祭る場所

神が宿っている聖域
言霊の生命力が湧き出す空間

ここで閑話休題。
ネットを見ていると、

「さくら」は「さ(田の神)・御坐(みくら)」が語源ともされ、 山から田の神さまが降りていらして、田植えの時期を知らせる木と されている。

…というような紹介がありますが、ちょっと不満が〜〜 いやいいんですよ、語源話。でも、出典書いてください、あるいは、 一説だということをちゃんと踏まえておいてください…
蘊蓄を楽しく語るのはお互い面白いですけど、 そうともいう、という含みがないと、変かも…
大言海によれば、
咲麗(サキウラ)の訳という、或いは木の花咲くや姫、…木の花=桜…(割愛) …とありますが、
栗田さんの 「春の女神 木花之開耶姫(このはなのさくやひめ)が
桜の木に降りてくる」
…というのは、詩的ですね。…


 
 
 



散ればこそ
いとど桜はめでたけれ
うき世に何か 久しかるべき

= そばにいた人の返し


文学作品

伊勢物語

源氏物語
枕草子
伊勢物語…はっきり桜の物語
主人公在原業平

「花を旅する」(栗田勇著)の要約続き(4)



散る桜への思い
桜は散るということの、象徴的なものなのか?

とことんまで咲ききって、ある時期が着たら一瞬にして思い切って散っていく
花吹雪となって散るというエネルギー


源氏物語と色好み

エロチシズムの極致
もの(目に見えない御霊)のあわれ
色(天然自然の現象のすべて)好み

桜の宴  朧月夜との出会い
光源氏の人生が暗転するきっかけ


「花を旅する」(栗田勇著)の要約続き(5)


続いていく風景

自分ひとりではなく、みんな一緒にというところがあって

桜はマッスだと思う

全体として眺め、咲いて散るダイナミズムのなかに
一緒に入っている。

花筏 の鮮烈な思い出



 散 
  
 
  
    
良寛の辞世


補足





大観「夜桜」(大倉文化財団蔵)昭和4年(1929)

横山大観:明治元年(1868)〜昭和33年(1958)

横山大観記念館
足立美術館



桜の園
チェーホフ(1860〜1904)最後の作品
この小説は 果樹園の話であることに注意

平凡社大百科事典(荒俣宏)
       

花を旅する (日本の花の文化)

       

サクラ 四月の櫻


おまけ:2007年さくら列島
河内弘川寺西行庵の桜(2007-04-03)



おまけ:芭蕉というと思い浮かぶ言葉は、 造化の妙です…
花の形:造化の妙について
http://bymn.pro.tok2.com/advent/2004/041216.html



photo by ぱんだ雑貨店



inserted by FC2 system