栗田勇「花を旅する」要約
桜に劣らない、日本人の深い思い入れ 亀戸天神の藤(90株)有名 http://www.tvz.com/nishiki-e/h/pdf/h104.pdf |
![]() 広重の亀戸天神境内(部分) http://www.aurora.dti.ne.jp/~k-manabe/uki.htm |
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くたびれて やどかるころや ふじのはな |
山腹に太い松の老木に絡んで花房が1メートル以上もいくつも下がっているような藤
原種は3つ ヤマフジ日本古来の在来種 ノダフジ シナフジ(中国伝来) 基本は紫色…ムラサキだからこそ日本人に好まれている 紫匂う … 目で色彩を見ることも昔匂うと言った …=日本人の感覚は、全体的な雰囲気で五感をあまり区別しない
「日本書紀」 「古事記」…藤の記述しばしばあり 藤蔓の実用性…古代では非常によく用いられた衣服の素材 |
長歌,短歌あわせて28首 |
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平安時代 藤原氏の時代 名字、家紋…藤を用いるもの多くなる お公家さん下がり藤 武家上がり藤 藤の丸 藤巴 八ツ藤 …二十六例あるとも言われる |
家紋
「家紋の湊」 46種類の藤の家紋が見られるサイト http://www.harimaya.com/kamon/column/huzi.html 藤紋の9割は下がり藤 ![]() |
源氏物語では藤が大きな意味を持つ 藤壺(坪=中庭…藤の植わっている中庭、 天皇の清涼殿に最も近い中宮の居所) 紫の上 ゆかりの色、藤に関わってくる 高貴な色、一般に用いられることが禁じられたこともある 松の枝に絡まる藤 女人の本性を藤と見た平安文化 源氏物語の 「野分」の巻で 夕霧(光源氏の息子)による例え 紫の上=樺桜 玉鬘=山吹 明石の姫君(後の東宮女御 8歳)=藤 (秋山虔のまとめ) |
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八八段「めでたきもの」 「唐錦。 飾り太刀。 作り仏のもくゑ。 色あひ深く、花房ながく咲きたる藤の花の、松にかかりたる」 花の品定め 花も糸も紙もすべて、むらさきなるものはめでたくこそあれ。 むらさきの花の中には、かきつばたぞすこしにくき。 六位の宿直姿のをかしきも、むらさきのゆえなり 春はあけぼの。 やうやうしろくなり行く、山ぎはすこしあかりて むらさきだちたる雲 春山の黎明の山の頂上のむらさき雲を 最も霊的な美の感動としてあげてきている 紫雲瑞祥の証し |
江戸の遊里 平安の壺の女官サロンへの憧憬に深く根ざしたパロディ文化だった 江戸の大津絵藤娘 源氏物語がパロディ化された、庶民の理想とする女性像の原型かもしれない なぜ藤の花を肩にかけるのか能における狂女もので、必ず笹の葉の小枝を引いてしどけなくさまよう 女から 歌舞音曲の神、蝉丸法師で名高い 全国回遊芸能者のセンターが大津にあった 遊里の原形は神仏、諸聖地の精進落としにおける巫女と白拍子 「藤の花のイメージ大津で定着 歌舞伎の歌を通して江戸、京、大阪に大輪の花を咲かつづけた」 |